
2025年現在、テレビで放送される映画はわかりやすい娯楽作品ばかりです。しかし、中にはこんなかたもいるでしょう。
エンタメ映画はパターンが決まってるから、もう見飽きたわ
楽しむためではなく、センスや感性を磨くために映画を観たいな
そんな人におすすめなのが、ミニシアター系の映画です。
- ミニシアター系の映画とは?【全国ロードショーではないが,特定の人には刺さるかもしれない作品たち】
- ミニシアター系洋画の名作10選「エンタメ作品はもう飽きた」というあなたへ
ミニシアター系の映画とは?【全国ロードショーではないが,特定の人には刺さるかもしれない作品たち】
映画館には、おもに2種類あります。
- 「シネマコンプレックス」・・・同じ施設内に、複数のスクリーンを持つ映画館。配給会社が映画館側に複数の映画をまとめて契約させる、「ブロックブッキング」形式を採用している
- 「ミニシアター」(単館・名画座など)・・・大手の映画会社や配給会社から独立しており、興行主みずから上映作品を選んでいる
シネコンではハリウッドの大作映画や、東宝や松竹といった大手映画会社が配給するようなエンタメ作品が上映されます。
これに対し、ミニシアターでは、特定の人だけに刺さるような先鋭的な作品、センスやみずみずしい感性にあふれた芸術映画が上映されます。
このページでは、ミニシアター系の名作を選出。ミニシアター系の洋画を視聴できる動画配信サービスも、ご紹介します。
ミニシアター系洋画の名作10選「エンタメ作品はもう飽きた」というあなたへ
1.『ベルリン・天使の詩』(1987年)
ストーリー
守護天使のダミエルとカシエルは、毎日のようにベルリンの街を見下ろしている。人間たちの行動を観察し、その心の声に耳を傾けるのが日課なのだ。あるとき、サーカスに立ちよったダミエルは、空中ブランコ乗りの若い女性・マリオンに心惹かれて・・・
見どころ
まだ、東西を隔てる壁があったころのベルリンが舞台。まるで、「詩」を体感しているような感覚。人間が他人に見せない優しさや哀愁を、天使の目を通して見せてくれます。鑑賞後、しばらく世界観に浸っていたくなるような余韻があります。
2.『アメリ』(2001年)
ストーリー
周りとうまくコミュニケーションを取れないアメリは、空想の大好きな女性に成長した。モンマルトルのカフェで働くアメリは、バスルームの下から小さな箱を発見する。持ち主に箱を返したアメリは、他人を幸せにすることに生きがいを見出す。そんな中、アメリに気になる男性が現れ・・・
見どころ
空想好きだけど恋に不器用な女の子が、一歩をふみ出すロマンティック・コメディ。まるで大人向けのおとぎ話のような世界観と、ファンタジックな美術にうっとり。今はなきミニシアター【シネマライズ渋谷】で大ヒットしたフランス映画です。
3.『トレインスポッティング』(1996年)
ストーリー
ヘロイン中毒の若者レントンとその仲間、シック・ボーイやスパッドたちは、さえない日々を送っている。薬物を断とうと試みるが、うまくいかないのだ。万引きで逮捕され後悔したレントンは、釈放後に不動産会社に就職する。しかし、“人並みの生活”は長くは続かず・・・
見どころ
自堕落な日々から抜け出そうともがくが、やっぱりダメで、ぐうたらな日々に逆戻り。若者たちの共感を呼び、1990年代の「ミニシアターブーム」をけん引した大ヒット作です。シンメトリーなアパートの窓、映像とフィットした音楽、明度を落としたライティングなど、画面作りもセンスにあふれています。
4.『バグダッド・カフェ』(1987年)
ストーリー
モハーベ砂漠にあるカフェ兼モーテルの【バグダッドカフェ】。女主人のブレンダは仕事をしない夫を怒鳴り散らし、追い出したばかり。そこへ、ドイツ人旅行者のジャスミンがやってくる。ジャスミンもまた、夫と口喧嘩して別れたばかりだった・・・
見どころ
主題歌「コーリング・ユー」が有名で、“ミニシアターブームの象徴”ともいえる人間ドラマ。最初、登場人物はみんなイライラしています。ただ、お互いの才能やいいところを認め合って、心が打ち解けてゆく様子がすがすがしい。ミニシアター系の中でも親しみやすい作品で、“入門編”としてもおすすめです。
2024年12月には、リバイバル上映されました。
▲クリックすると動画が読み込まれます。
5.『ミツバチのささやき』(1973年)
ストーリー
1940年ごろ、スペインのとある小さな村。『フランケンシュタイン』の巡回映画が、この村の公民館にやってくる。6歳の少女アナは、姉から「村はずれに怪物が隠れている」と聞かされ、本当だと信じ込むようになる。やがて、アナはスペイン内戦で負傷した兵士と知り合うが・・・
見どころ
ひたすら暗くて、静かで、美しい映画。筆者は大学の「戦争史」の講義でこの映画を見せらてもらい、“隠喩”に満ちた詩的な表現に魅せられました。
この作品は、スペイン内戦(1936~1939)によって分断された夫婦の心の傷を、思春期の少女が思いを寄せる“見えない精霊”にかさねて描いています。
なんと、メタファーに満ちた豊かな表現! かなり人を選ぶので万人には薦めませんが、何かを感じ取ってほしい名作です。「考察」好きなら、観ておくべし!
6.『バッファロー’66』(1998年)
ストーリー
5年ぶりに刑務所を出たビリーは、ニューヨーク州バッファローに住む両親に電話をかける。ビリーはつい見栄をはって、「結婚して海外に行っていた」と嘘をついてしまう。
困ったビリーはダンススクールにいた少女・レイラを拉致し、両親のもとへ連れて行こうとするが・・・
見どころ
ブチ切れやすく、見栄っ張り。だけど、なぜか憎めない主人公・ビリー。最初は“気に食わないヤツ”だと感じたとしても、プライドと繊細さが同居するビリーが愛おしくなってゆきます。“生きづらさ”を抱えるすべての人に見てほしい、ミニシアター系の定番。見終わったあと、ハート形のクッキーを買いに行きたくなります。
7.『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991年)
ストーリー
ロサンゼルス。映画のキャスティングを担当するヴィクトリアは、若い女性・コーキーが運転するタクシーに乗る。ヴィクトリアは、口汚いが魅力あるコーキーを女優の仕事に誘うが・・・・
見どころ
ありふれていながら、どこかユーモラスな人間の機微。劇的な出来事はほとんど起こらないのに、作品が醸し出す空気感が心地いい。
監督は、インディーズ映画界で圧倒的な人気をほこるジム・ジャームッシュ。センス系の人は影響され過ぎて、沼らないように注意!
8.『ユリシーズの瞳』(1996年)
ストーリー
映画監督のAは回顧上映のため、故郷のギリシャに戻る。街ではギリシャ正教の一派がデモを起こし、騒然となっていた。そんな中、Aはかつての恋人らしき女とすれ違い・・・
見どころ
バルカン半島の歴史が描かれますが、よほど世界史を知らないとストーリーは理解できません。でも、写真展を見ているような美しい構図の連続に、鳥肌が立ちます。
劇中、巨大なレーニン像を乗せた船が出航するシーンがあるのですが、この「長回し」(※)が凄いんです。筆者は生まれて初めて、画面の美しさだけで泣いてしまいました。
(※ すぐに映像を切らずに、ワンカットが長い撮影技法のこと)
9.『過去のない男』(2002年)
ストーリー
列車に揺られ、ヘルシンキに着いた男は暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負う。一命をとりとめた男だが、記憶を失っていた。コンテナで暮らす一家に助けられた男は、独身女性・イルマと出会い・・・
見どころ
無表情な登場人物が出てくる、カウリスマキの代表作。
絶望的な状況で助けてくれる人たちが、恩着せがましくなくていい。貧しいけれど、みんな心に余裕があるんです。シュールな中に、じわじわくる笑いも癖になります。
10.『モーターサイクル・ダイアリーズ』(2004年)
ストーリー
1952年、アルゼンチンのブエノスアイレス。喘息持ちの医学生エルネストは友人アルベルトとともに、南米大陸探検の旅に出る。アルゼンチンからアンデス山脈、チリの海岸線、そしてベネズエラのカラカスを目指す。二人はおんぼろバイク【ポデローサ号】に乗って、わずかな所持金だけで旅立つが・・・
見どころ
キューバの革命家、チェ・ゲバラの若き日の旅行記が原作。旅先で出会った人に心をさらけ出して、本気で向き合う・・・人との接し方がとても心地いいです。
筆者は映画館で観たのですが、余韻に浸りたくて、ひと駅ぶん歩いたのを思い出します。









