
ロマンティック・コメディの名作『ローマの休日』は、今もなお映画ファンに愛され続けています。しかし、脚本の構成を調べると、これはただの恋愛映画ではないことがわかります。
この記事では、不朽の名作『ローマの休日』が伝えたかったことを解説。名作といわれる理由を、シナリオの視点から読み解いてゆきます。
目次
【主演女優はどんな人?】名作映画『ローマの休日』概要
『ローマの休日』は1953年のアメリカ映画。公務にうんざりして逃げ出した王女と新聞記者の、たった1日の恋模様を描いています。
| 映画『ローマの休日』 | |
|---|---|
| 原題 | Roman Holiday |
| 製作国 | アメリカ |
| 公開年 | 1953年 |
| 上映時間 | 118分 |
| 監督 | ウィリアム・ワイラー(『ベン・ハー』『おしゃれ泥棒』) |
| 脚本 | ダルトン・トランボ(『ジョニーは戦場へ行った』『スパルタカス』) |
| 出演 | オードリー・ヘップバーン、グレゴリー・ペック、エディ・アルバート |
主演はベルギー生まれのイギリス人女優、オードリー・ヘップバーンです。
『ローマの休日』をはじめ、『麗しのサブリナ』(1954)や『ティファニーで朝食を』(1961)、『マイ・フェア・レディ』(1964)といった数々のヒット作に出演。
可愛らしさを持ちながら気品あふれる姿は絶大な人気を誇り、“ファッションアイコン”としても親しまれました。
Name a more iconic holiday? We’ll wait… 🛵
The beloved film Roman Holiday starring Audrey Hepburn and Gregory Peck is coming back to the big screen this week! Gelato not included.
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— Cineplex (@CineplexMovies) March 22, 2023
(出典:Cineplex on X)
『ローマの休日』は、2023年12月にはNHKのBSプレミアムでも放送されました。
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なぜ名作?『ローマの休日』が伝えたいことは?【ただの恋愛映画じゃない】
原題の【Roman Holiday】の本当の意味とは?
『ローマの休日』の原題は、【 Roman Holiday 】。これは慣用句で、「他人を犠牲にして得られるお楽しみ」といった意味があります。
古代ローマではコロッセウム(=円形の闘技場)で、剣闘士どうしに殺し合いをさせる余興がありました。そこから派生した言葉です。
映画の序盤、22分17秒。
タクシーに乗せられたアン王女は、ジョーから住所を聞かれ、
「コロッセウム・・・コロッセウム」
と発言するシーンがあります。
※ 「コロッセウム」というキーワードを使うことで、裏テーマは「他人を犠牲にして得られるお楽しみ」だよ、と示唆。
メインプロットは、アンが“王女として自覚を持つ”成長譚(せいちょうたん)?
主人公のアンは某国の王女で、戦後のヨーロッパをまわり、各地を慰問する役目を与えられています。しかし、アン王女は公務に嫌気がさして、大使館から逃げ出してしまいます。
新聞記者のジョーとローマ市内を観光するうち、アン王女は「祈りの壁」という場所を訪れます。戦時中、子ども連れの男が空襲に遭い、家族の無事を祈って壁に板をかけました。それ以来、平和の願いをこめた板がかけられるようになった場所です。

アンは、戦争の傷跡が残るヨーロッパ各地を慰問していたことに、意味があったと学びます。
王族である自分には、人々をなぐさめ、元気づける力があるのだと。
公務をすっぽかして「自分のお楽しみ」のためだけに行動していたアンは、王女としての本分(=戦後復興のために力添えすること)に目覚めてゆくのです。
このアン王女の成長こそが、『ローマの休日』のストーリーの骨格です。背景には、“欧州連合の創設”という平和への願いがこめられています。
自分たちの国だけでなく、戦争で傷ついた国々の平和についても考えよう!というメッセージを送っているのです
映画のラスト。レポーターから“国家間の友好”について意見を求められたアン王女は、次のように答えています。
「個人の関係が守られるのと同様に、(国家間の友情も)守られると信じています!」
『ローマの休日』のシナリオを書いたのは、ダルトン・トランボ。
『ジョニーは戦場へ行った』(1971)や『パピョン』(1973)などを執筆した名脚本家ですが、労働組合に入っていたことから、「赤狩り」(※)の標的となりました。
「赤狩り」とは、共産主義者たちや自由主義者たちを社会から追放しようとする運動のこと。戦争に反対するだけで“売国奴”と決めつけ、弾圧する風潮がありました。
トランボはハリウッドから干されかけ、議会から証言を求められても決して仲間を売りませんでした。
『ローマの休日』の終盤。スクープをあきらめ、アン王女の秘密を守ったジョーに通ずるものがあります。
自分の幸せだけを求めるのではなく、みんなの幸せを
Roman Holiday (1953)
dir. William Eyler pic.twitter.com/ce4BvXK0KG
— FilmX’s Number One Fan (@GAltringham) May 2, 2025
(出典: FilmX’s Number One Fan on X)
映画 『ローマの休日』が私たちの心を揺さぶるのは、アンやジョーが自分の欲望より“品位ある行動”を選択したところにあるのでしょう。
「裏テーマ」を知ると、『ローマの休日』の見え方が変わってきます
ただの恋愛映画じゃないんです
2025年11月現在、映画『ローマの休日』、そして魂の脚本家・トランボの半生を描いた映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』は、ともに動画配信サービスU-NEXT
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映画『オールウェイズ』は、2023年4月27日(木)にBSで放送されました。